返金を求める問い合わせへ、「返金します」「返金できません」と最初の返信で断定するのは避けます。購入したストア、取引の状態、商品が提供されたか、ユーザーが求めているのは返金か今後の請求停止かによって、案内する手続きが変わるためです。
最初の返信では、金銭の約束より先に対象取引を特定し、利用できない不具合があるなら同時に切り分けます。
返金、解約、復元、不具合を分ける
「課金を取り消したい」という文だけでは、希望する結果を確定できません。次の四つを分けて確認します。
| ユーザーの希望 | 対応する作業 |
|---|---|
| 支払済みの金額を戻したい | 返金申請または開発者の返金判断 |
| 次回から請求されたくない | サブスクリプションの解約 |
| 購入済みなのに使えない | 購入状態の照合、復元、提供不具合の調査 |
| 身に覚えのない請求がある | 購入アカウント、家族利用、不正利用の窓口確認 |
サブスクリプションを解約しても、過去の請求が自動的に返金されるとは限りません。返金されても、別途購読状態を確認する必要がある場合があります。一つのボタンで両方が完了する前提にせず、ユーザーが求める結果を言葉で確認します。
最初に購入経路を特定する
同じアプリでも、App Store、Google Play、Web決済など複数の購入経路があり得ます。ストア外の購入を、App StoreやGoogle Playの返金ページへ案内しても対象は見つかりません。
最初に確認する情報は次の範囲で十分です。
- 購入したストアまたは決済サービス
- 購入した商品やプラン
- おおよその購入日時
- ストアの領収書や注文番号
- 利用しているアプリのアカウントを識別できる安全な情報
- 購入後に商品や機能を利用できたか
カード番号、セキュリティコード、パスワード、認証コードは送らせないでください。決済を特定するために必要な参照情報と、決済そのものの秘密情報を区別します。
App Store経由はAppleの申請先を案内する
Appleの返金申請手順では、App StoreなどApple経由の購入について、Report a Problemへサインインし、返金理由と対象商品を選んで申請する流れが案内されています。
返金対象が表示されない場合は、Appleから届いた領収書を探し、購入に使ったApple Accountを確認します。複数のアカウントを使っていると、別のアカウントでサインインした画面には取引が表示されません。保留中の請求など、その時点では申請できない状態もあります。
Appleは、返金申請を承認するか否かを複数の要素から判断すると開発者向けIn-App Purchase資料で説明しています。開発者が問い合わせを受けた時点で、Appleの判断結果や入金時期を約束しないでください。
開発者側で取引を照合する仕組みを実装している場合は、Appleの領収書にあるOrder IDを使って対象購入を確認できます。返金後にアプリ内の権利や残高を変更するなら、何が変わり、ユーザーに必要な操作があるかを伝えます。
Google Play経由は条件と開発者方針を確認する
Google Playの返金ポリシーは、購入内容、購入からの時期、支払方法、地域によって扱いが異なると説明しています。すべての問い合わせに一律の期限や可否を返信しないでください。
Google Playには返金申請と申請状況を確認する窓口があります。同時に、Googleの案内では、アプリ開発者も購入問題を支援し、自身の返金方針と適用される法令に従って返金を処理できるとされています。
開発者が対応する方針の場合は、次を確認してから判断します。
- 注文を自分のアプリの取引として照合できたか
- 商品や権利を提供済みか
- 同じ注文がすでに返金されていないか
- 返金後に利用権をどう扱うか
- 公開している返金方針と矛盾しないか
- 地域ごとの消費者保護など、適用される要件に反しないか
法的な返金義務の判断は、一般的なサポート記事だけで確定できません。判断に迷う場合は、対象地域の専門家へ確認してください。
「使えない」を返金だけで閉じない
購入した機能が使えない問い合わせでは、返金の案内と並行して提供状態を調べます。
- 注文が完了しているか
- アプリがその取引を認識しているか
- 対象アカウントへ権利が付与されているか
- 別のストアアカウントやアプリアカウントを使っていないか
- 復元処理や再同期で解消するか
- 特定のアプリバージョンやOSだけで起きるか
返金申請を案内すれば、提供不具合がなくなるわけではありません。同じ原因が残れば別のユーザーにも発生します。取引を特定できる情報と、アプリバージョン、OS、端末、実際のエラーを同じ問い合わせへ結び付けます。
身に覚えのない請求は事情を決めつけない
Google Playの公式案内では、本人も知人も購入していない請求と、家族などが本人のアカウントで誤って購入した場合で手続きが分かれています。最初から不正利用や虚偽申告と決めつけず、購入アカウントと領収書を確認するよう案内します。
開発者がカード情報やApple Account、Google Accountの認証情報を受け取って調査することはできません。ストアアカウントの不正利用が疑われる場合は、各ストアが用意する報告・サポート窓口へ移します。
緊急性を理由に、パスワードやワンタイムコードを問い合わせ本文へ送らせないでください。
最初の返信に入れる内容
返金可否を確定できない段階では、次の順に返信します。
- 問い合わせを受け取ったこと
- 返金、解約、復元のどれを希望しているかの確認
- 購入したストアと対象取引の確認
- 秘密情報を送らない注意
- 次に開発者が確認すること、またはストアの申請先
- 現時点では承認や反映時期を約束できないこと
たとえば、App Store経由だと確認できた後なら、「Appleの返金申請窓口から対象の購入を選んで申請してください。承認可否はAppleが判断するため、こちらから結果は確約できません」と役割を分けて伝えます。
Google Playで開発者が個別判断する方針なら、「対象注文と提供状態を確認します。カード番号やパスワードは送らず、領収書の注文番号と購入日時をお知らせください」と、必要な情報だけを求めます。
IndieFormでは返金を高リスクとして確認する
IndieFormは返金処理を実行せず、App StoreやGoogle Playの判断を代行しません。返金に関する問い合わせは高リスクとして扱い、AI返信案を自動送信せず、開発者が内容と根拠を確認してからメーラーへ渡します。
プロダクトのナレッジには、販売経路ごとに次を登録します。
- 返金申請を案内する公式窓口
- 開発者が個別判断する範囲
- 取引照合に必要な情報
- 返金後の利用権の扱い
- 解約、復元、不具合対応への分岐
公式URLや操作手順は更新され得ます。AIに推測させず、ナレッジへ登録した最新の公式情報を根拠に返信案を確認します。英語で届いた場合の短い返信手順は、英語で届いたアプリの問い合わせへの返信も参照できます。
対応を閉じる前に確認する
返金問い合わせを完了にする前に、次を確認します。
- 購入経路と対象取引を取り違えていない
- 返金、解約、復元、不具合を区別した
- カード番号や認証情報を収集していない
- ストアまたは開発者の担当範囲を明示した
- 承認可否や反映時期を根拠なく約束していない
- 返金後の利用権に変更がある場合は伝えた
- 提供不具合があれば別に調査を続けた
返金の問い合わせは、金銭の判断と技術的な提供状態が同時に含まれます。返信文を急ぐより、どの取引を、誰が、どの規則で判断するかを先に固定すると、誤った約束を避けられます。