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アプリのサブスク値上げ:既存ユーザーへの通知と同意の扱い

·最終更新

サブスクリプションの価格を上げる作業は、ストアの管理画面で数値を書き換えて終わりません。
すでに課金しているユーザーへ変更を適用するかどうかを選び、ストアが送る通知とは別に、開発者自身が告知を出さなければならない場合もあります。
条件を外すと、値上げが適用されないどころか、既存の定期購入が解約されます。

Appleは適用範囲を先に選ぶ

App Store Connectの価格管理では、値上げをスケジュールするときに既存加入者の扱いを二択で決めます。

選択既存加入者への影響
現在の価格を据え置く変更の開始日より前に登録した人は影響を受けない
表示中の価格を支払っている人へ適用する国や地域ごとに、同意が必要か通知だけかが示される

据え置きを選んだ場合、期限切れになった加入者は失効から60日以内であれば据え置き価格で再登録できます。
値下げには同じ選択肢がありません。既存の定期購入は自動的に低い価格で更新され、高い価格を維持することはできません。

価格変更は国や地域ごと、請求プランの種類ごとに一度に一つだけ予約できます。
予約がある状態で二つ目を入れると最初の変更が上書きされるため、複数地域を段階的に動かす計画では順序を確認してください。

同意が必要になる条件は三つ

Appleが加入者の同意を求めるのは、次のいずれかに当てはまる場合です。

  • 価格変更に同意を必須とする地域の加入者である
  • 値上げが現在価格の50%を超え、かつ差額が非年間で1期間あたり約5米ドル、年間で年約50米ドルを超える
  • その定期購入で、過去12か月以内に値上げを経験している

小幅な改定なら通知だけで進む一方、前回の改定から1年以内に再び上げると、金額にかかわらず同意が必要になります。
連続した改定を計画するときは、この12か月の条件を先に確認してください。

通知の時期も、同意の要否で変わります。

状況最初のメール通知
同意が必要/2か月・3か月・6か月・年間更新日の60日前
同意が必要/月間更新日の27日前
同意が必要/週間更新日の7日前
同意が不要更新日の27日前

同意が不要な場合、プッシュ通知は更新日の7日前に送られ、iOS 13.4以降ではアプリ内メッセージでも案内されます。

加入者が同意せず何も操作しない場合、Appleはメール、プッシュ通知、アプリ内メッセージでおよそ週1回同意を求め続け、現在の請求サイクルの終わりに定期購入が失効します。
無料トライアルや有料オファーの利用者には、登録時に表示された価格で少なくとももう1回の更新期間が確保され、新価格の案内が30日以上前に届くよう調整されます。

Google Playは既定で同意が必要になる

Google Play側の初期値はAppleと逆です。
Android Developersの価格変更ドキュメントによると、値上げは既定で既存加入者にとってオプトインの変更で、ユーザーが明示的に受け入れない限りGoogle Playが定期購入を解約します。

Play Consoleヘルプにも、同意しないユーザーについては値上げ後の価格で最初の請求が行われる前に定期購入が自動的に解約される、と書かれています。

進み方は次のとおりです。

  1. 価格を変更する。新価格は新規購入へ直ちに適用される
  2. 既存加入者は以前の価格コホートに入り、そのままでは影響を受けない
  3. コホートを終了して移行を開始すると、37日間の事前通知期間が始まる
  4. 開始から7日間はGoogle Playからの通知が送られない
  5. 請求の30日前から、Google Playがメールとプッシュ通知で案内する
  6. 操作がないまま該当の更新日に達すると、その日で解約され期限切れになる

最初の7日間は、開発者が自分の言葉で先に知らせるための時間です。
アプリ内メッセージング機能を使うと、ユーザーはアプリを離れずに同意できます。この案内は7日に最大1回まで表示されます。

アプリ内通知の中身は指定されている

Google Playでは、告知の有無だけでなく内容も決まっています。
値上げが有効になる30日以上前に、次の情報を記載したアプリ内通知を目立つように表示する必要があります。

  • ユーザーの定期購入の名前
  • 現在の価格と新しい価格
  • 新価格が自動的に有効になる日付
  • 解約方法に関する情報

通知はアプリが提供されているすべてのデバイスタイプで表示します。ウォッチデバイスだけが推奨にとどまります。
スマートフォンだけに実装し、TVやストリーミングデバイス向けのビルドを対象外にしないでください。

告知文は、そのまま問い合わせへの回答にも使えます。次の形で用意しておくと、アプリ内、メール、ストアの説明文で内容がそろいます。

[プラン名]の価格改定について

現在の価格:[現在の価格]/[請求周期]
改定後の価格:[新しい価格]/[請求周期]
適用日:[日付](この日以降の更新分から)

このまま継続する場合の手続き:[同意が必要か、操作が不要か]
継続しない場合:[解約手順の案内先]
すでに支払った期間の扱い:[いつまで利用できるか]

オプトアウトの値上げは条件が厳しい

同意を求めずに事前通知だけで進めるオプトアウトの値上げもありますが、誰でも選べるわけではありません。

条件内容
対象一部の国や地域のみ、かつGoogle Playで良好な状態にあるデベロッパー
頻度定期購入の基本プランごとに、過去365日間で国や地域あたり1回
上限現在支払っている価格の50%、または1日あたり17米セントのいずれか大きい方

オプトアウトを選んだ場合でも、アプリ内通知の表示は必須です。
Google Playが直接通知を始めるまでの7日間の待機期間はないため、告知の準備を先に終えてから開始してください。

取り消せる範囲を把握しておく

操作の巻き戻し方は、ストアで異なります。

  • Appleでは、値上げが有効になった後に取り消すことはできません。後から別の価格変更を予約することは可能です
  • Appleの価格変更を予約できる最短の日程は通常1〜2日前で、反映される時刻は地域によって変わります
  • Google Playでオプトインの値上げを誤って開始した場合、7日以内に元の価格へ戻せば既存加入者へ通知されません

Google Playの7日間は、告知の猶予であると同時に、誤操作を戻せる期間でもあります。
コホートの移行を始める前に、対象の国や地域、金額、適用日を読み合わせてください。

改定後に届く問い合わせを先に用意する

値上げの通知が届く時期には、内容の異なる連絡が同時に増えます。

届く内容確認すること
値上げの案内が届いたが継続したくない購入経路と解約手順
同意しなかったら使えなくなったストアごとの失効・解約の仕組み
据え置きのはずが値上げされている登録時期と、据え置きを選んだ範囲
差額を返してほしい返金は各ストアの判断であること

解約の案内そのものはアプリのサブスク解約問い合わせ対応、返金の切り分けはアプリの返金問い合わせ対応で扱っています。

条件は地域と請求周期で変わるため、「全員が同意なしで切り替わります」といった一律の説明は避けてください。
ユーザーがどのストアで、いつ登録し、どの周期で支払っているかを確認してから答えます。

IndieFormへ改定内容を登録しておく

値上げの前後は、同じ質問が短期間に集中します。
IndieFormでは、改定に関する事実をプロダクトのナレッジへ登録しておくと、届いた問い合わせへの返信案がその内容を根拠に作られます。

登録しておくと役立つのは、次のような項目です。

  • 対象プランと、改定前後の価格、適用日
  • ストアごとに同意が必要か、通知だけか
  • 据え置きの対象になる登録時期
  • 同意しなかった場合にいつまで利用できるか
  • 解約と返金の案内先

金額に関する問い合わせは、確認せずに送る返信の影響が大きい領域です。
IndieFormは返信案を自動では送らないため、改定内容と照らして開発者が確認してから返します。

開始前に確認する

  • 既存加入者へ適用するか据え置くかを決めた
  • Appleで同意が必要になる三条件に当てはまるか確認した
  • Google Play向けのアプリ内通知に四項目を入れた
  • 通知をすべての対象デバイスで表示できる
  • 告知の開始日が、適用日の30日以上前になっている
  • 想定される問い合わせの回答を用意した

価格そのものより、いつ何を知らせたかが後から効いてきます。
改定日を決めたら、告知、ストア設定、問い合わせの準備を同じ日程表に並べてください。

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